タクシー会社ごとの縄張りってあるの?
法人タクシーには地域ごとに共存のためのルールがあり、その一つが縄張りと言う価値観ですが、多くの法人タクシーは地域の組合に加盟しているので暗黙のルールとなっています。縄張りと言う価値観については、法令によりタクシーの営業や乗車をして良い場所と、そうでない場所が決められていると言う背景も関係しています。
法令による意外なルールがある
タクシーの縄張りの例としては、意外ですが日本を代表する繁華街の東京銀座でも、営業や乗車などが可能な区域や禁止されている時間帯もあります。
具体的には22時から翌1時までの間は、特定の場所での乗車行為が禁止されており、ルールを破った場合はドライバー資格の停止などの対象となる可能性もあると言われています。銀座の営業や乗車を禁止されている区域の中には、ビジネス利用の多い人気スポット新橋の新橋駅前なども含まれています。
また、羽田空港付近のタクシーの営業に関しても縄張りのようなルールがあり、少し複雑で注意が必要と言われています。羽田空港の所在地は東京都の大田区ですが、羽田空港付近の各ターミナルには神奈川車乗り場が設置されており、京浜交通圏内に限定されると言う実情があります。
標識などに神奈川車と表記されている場合でも、京浜交通圏だけが営業区域となる場合があり、線引きが難しく羽田空港付近は注意が必要というのが暗黙のルールです。神奈川圏内では新横浜駅と横浜駅西口への台数の集中を回避するため、一日おきに偶数と奇数のナンバーの車両が交互に、新横浜駅と横浜駅西口に入れると言うルールがあります。
代表的観光地にも意外なルールがある
観光地に目を向けると、国内外の沢山の観光客が訪れる京都でも縄張り的なルールがあり、意外ですが営業や乗車に関する規制や営業を禁止されている区域があります。そのため、京都でタクシーに手を上げても、止まってくれずスルーされてしまい乗車拒否されたと感じた場合でも、実は営業禁止区域だったと可能性もあります。
基本的に京都は観光地化されている事もあり営業区域は広範囲ですが、具体的には京都市右京区旧京北町付近は、タクシー営業禁止区域と言われています。京都の国際的観光地としての土地柄を考えた場合、これらのルールに関しては広くアナウンスしておく必要性があると考えられます。
ローカルルールや暗黙のルールもある
その地域ごとの法令と言う大きな括りでの縄張り的なルール以外にも、地域のローカルルールや会社ごとの暗黙のルールもあると言う実情があります。例えば、ある地域では乗車が禁止されており遠距離の乗客を乗せた帰りに、ある地域を通る場合は回送で帰社しなければならないと決まっている会社もあります。
また、激戦区で縄張り意識が強い地域などでは、駅前や繁華街などはベテランドライバーが勝手に組合を作り場所代を徴収する極端な例もあります。そして、組合のルールに従わないドライバーや新参ドライバーに対して、嫌がらせやいじめのような行為で締め出すケースもあると言う実情があります。
タクシーの営業には沢山のルールがありますが、その中でも意外にも法令で営業や乗車が禁止されている区域があり、日本を代表する繁華街やビジネス街、観光地も例に漏れません。また、法令以外にも台数の集中防止や利益の共存などの目的で暗黙のルールがあり、タクシー業界に縄張りという価値観が構築されてきました。
その半面、独自のローカルルールによって縄張り争いのために、嫌がらせやいじめのような行為に及ぶケースもあると言う実情もあります。タクシーの営業や乗車が禁止されている区域に関しては、利用者に対し広くアナウンスする必要性があると考えられます。